「特定行政書士、取っておいたほうがええかな……でも8万円かかるし、勉強の時間も要る。そもそも自分に必要なんやろか?」
開業して実務に追われていると、こんなふうに迷う場面が必ず出てきます。ネットを見れば「意味ない」という声もあれば「絶対取るべき」という声もあって、よけいに決めかねる。この記事では、煽らず・脅さず、自分にとって必要かどうかを落ち着いて見極めるための考え方を整理します。
そもそも、何ができる資格だったか
特定行政書士は、法定研修を修了することで「行政不服申立ての代理」ができるようになる行政書士です。たとえば建設業許可や農地転用、産廃施設の設置許可などが不許可になったとき、その見直しを求める審査請求などを代理できます。
ここで押さえておきたいのは、対象はあくまで「行政庁の処分に対する不服申立て」だということ。相続争いや契約トラブルといった民事の紛争は弁護士の領域であり、特定行政書士でも扱えません。「特定が付けば守備範囲が一気に広がる」というより、「許認可の”その先”までカバーできる」資格、というイメージが正確です。
迷うのは当然です
受講料は8万円、講義は18時間、考査は近年むしろ難化傾向にあり、「受ければ通る」ものではありません。開業したばかりで目の前の案件に追われている時期なら、「今これに時間を割くべきか?」と迷うのはごく自然なこと。迷っている自分を責める必要はまったくありません。
そのうえで、必要かどうかは次の3つの問いで整理できます。
問1:これから何を主力にする?
建設業・産廃・農転など、許認可を主戦場にするつもりなら相性は抜群です。許認可と不服申立ては地続きなので、取得が活きる場面が多くなります。
一方、相続・遺言や契約書作成を中心に据えるなら、不服申立ての出番は相対的に少なめ。その場合は「今すぐ必須」ではないかもしれません。
問2:不服申立ての”実需”はどれくらいありそう?
正直に言えば、許認可が不許可になる場面はそう頻繁には起きません。だからこそ「使う機会が少ないなら意味ない」という声も出ます。
ただ見方を変えると、いざというときに「ここから先は弁護士さんへ」と引き継ぐのではなく、書類を作った専門家がそのまま伴走できる——この一貫性は、依頼者にも紹介元にも大きな安心になります。”使う頻度”だけでなく”信頼の担保”として捉えると、評価は変わってきます。
問3:今すぐか、それとも後でもいいか
受講には行政書士登録が前提なので、まず開業、それから特定、という順番です。開業直後で手一杯なら、無理に初年度で取らなくても構いません。万一一度で修了できなくても3年間は減額で再受講できる救済もあり、焦って取る性質の資格ではないのです。
資格そのもの以上に効いてくるもの
見落としがちですが、研修で学ぶ「要件事実」や「審査基準の読み方」は、通常の許認可業務の質そのものを底上げしてくれます。たとえ不服申立ての依頼がしばらく来なくても、学んだ思考法は日々の実務で確実に効いてきます。「資格を使うかどうか」とは別に、学び自体に価値がある——これも判断材料の一つです。
加えて、2026年の法改正で特定行政書士の業務範囲は拡大されました。取得後にできることが増えた今は、むしろ取る価値が上がったタイミングともいえます。
結論:全員が今すぐ、ではない。でも——
特定行政書士は「行政書士なら全員が今すぐ取るべき」資格ではありません。けれど、許認可を軸に事務所を育てていくつもりなら、遅かれ早かれ取って損はない一枚です。
大事なのは、まわりの声ではなく自分の業務の方向性と相談して決めること。「いつか許認可で勝負したい」と思っているなら、その日のために、迷っている今こそ前向きに検討する価値があります。
姫路の当事務所も、同じように「入口から出口まで頼ってもらえる事務所」を目指して、一歩ずつ準備を進めています。

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