前回は建設業許可の人的要件である「専任技術者」について書きました。
その続きで雑談をしているときに、「結局、建設業許可を取るにはお金もいるんでしょ?」と聞かれました。たしかに、人だけ揃えればいいわけではなく、財産面の要件もあります。今回はこの「財産的基礎」について整理してみます。
■そもそも「財産的基礎」とは何か
建設業を継続的に営むうえで、最低限の財務的な体力があることを示す要件です。
工事を請け負えば、材料の仕入れや人件費の立替が発生します。「受注したはいいけれど、運転資金が回らずに途中で頓挫した」という事態を防ぐため、許可の段階で一定の財産的基礎を求める、という制度設計になっています。
■「一般建設業」と「特定建設業」で基準が違う
財産的基礎の基準は、取得する許可の種類によって変わります。
【一般建設業の場合】
次のいずれかを満たすこと。
- 自己資本が500万円以上あること
- 500万円以上の資金調達能力があること
- 直前5年間、許可を受けて継続して営業した実績があること
【特定建設業の場合】(元請として4,500万円以上の下請契約を結ぶ場合)
次のすべてを満たすこと。
- 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金が2,000万円以上であること
- 自己資本が4,000万円以上であること
新規で建設業許可を取る方の大半は「一般建設業」になるので、まずは500万円のラインを意識すれば大丈夫です。
■「500万円」をどう証明するか
一般建設業の場合、財産的基礎の証明方法は次のいずれかです。
- 法人:直前の決算書で自己資本が500万円以上あることを示す
- 個人:直前の確定申告書で自己資本が500万円以上あることを示す
- 残高証明書:金融機関発行の残高証明書で500万円以上の預金を示す
決算書や確定申告書で要件を満たせない場合、最終手段になるのが残高証明書ルートです。一時的に500万円以上の残高を確保できれば、その時点の証明書を提出することで要件をクリアできます。
ただし、残高証明書には有効期限があります。発行日から原則1か月以内のものが求められるため、申請書類一式の準備が整ったタイミングで取得するのが鉄則です。早く取りすぎると失効してしまうので、ここはスケジュール管理が肝心です。
■よくある落とし穴
- 「資本金500万円」と「自己資本500万円」は別物:資本金が500万円あっても、累積赤字で自己資本が目減りしていればNGです。法人の方は決算書の純資産の部を確認してみてください。
- 証明書の有効期限切れ:残高証明書を早めに取りすぎて、申請時に失効しているケースがあります。
- 新設法人の特例:設立直後で決算を迎えていない法人は、設立時の貸借対照表で判定します。資本金500万円以上で設立しておけば、この要件はクリアできます。
■決算書を整える段階から準備を
建設業許可を見据えている方は、申請の直前ではなく、その一期前の決算から意識して整えておくことをおすすめします。役員借入金を資本金に振り替える、不良債権を整理するなど、自己資本を厚くする工夫の余地があるからです。
姫路で建設業許可をご検討の方には、決算書をお持ちいただければ「財産的基礎の要件を満たしているか」をその場で確認いたします。事前相談は無料で承っております。
経管・専任技術者・財産的基礎の3つが揃えば、許可取得の大きな山は越えたことになります。次回は最後の要件「誠実性・欠格事由」について書く予定です。

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