建設業許可の要件④「誠実性」と「欠格事由」


前回までで、建設業許可の3つの大きな要件 経営業務の管理責任者、専任技術者、財産的基礎について書きました。

その続きで雑談をしているときに、「人とお金が揃えば、もう許可は取れるの?」と聞かれました。あと2つ、見落とされがちな要件があります。「誠実性」と「欠格事由に該当しないこと」です。今回はこの2つをまとめて整理してみます。

■「誠実性」とは何か

簡単に言えば、「建設業の営業にあたって、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと」が求められます。

具体的には、法人であれば役員等、個人であれば事業主本人やその支配人について、過去に請負契約に関して不正・不誠実な行為を行っていないことが審査されます。

「不正」とは、請負契約の締結や履行に際して詐欺・脅迫・横領などの違法行為に及ぶこと。「不誠実な行為」とは、契約違反や工事内容の不当な変更など、業務上の信義に反する行為を指します。

実務上、この要件で引っかかるケースは多くありません。ただし、過去に建築士法・宅地建物取引業法などで免許取消処分を受けて5年を経過していない場合などは、誠実性なしと判断されます。

■「欠格事由」とは何か

誠実性とセットで問われるのが、欠格事由に該当していないことです。法人の場合は役員等および令3条の使用人(支店長等)全員、個人の場合は事業主本人と支配人がチェックの対象になります。

主な欠格事由は次のとおりです。

  1. 成年被後見人・被保佐人、または破産者で復権を得ない者
  2. 不正の手段で許可を受けた等の理由で許可を取り消されてから5年を経過しない
  3. 建設業法・刑法の特定の罪・暴力団関係法令違反などで罰金以上の刑を受け、5年を経過しない
  4. 禁錮以上の刑を受け、その執行を終わってから5年を経過しない
  5. 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  6. 暴力団員等がその事業活動を支配する者

ポイントは、役員等の全員が審査対象になるという点です。1人でも該当者がいれば、法人として許可は取れません。

■よくある落とし穴

  • 過去の罰金歴:交通違反程度の反則金は対象外ですが、酒気帯び運転などで罰金刑を受けた場合は欠格事由に該当します。本人も忘れているケースが多く、ヒアリングで出てこないと後から発覚することがあります。
  • 役員の追加:許可申請の途中で新たに役員を加える場合、その方も欠格事由のチェックが必要です。
  • 暴力団排除条項:「現役の暴力団員でなければ大丈夫」と思いがちですが、過去に暴力団員だった方は離脱から5年経過していなければ該当します。
  • 執行猶予期間中の扱い:禁錮以上の刑で執行猶予中の場合、猶予期間が満了するまで欠格事由に該当します。猶予が明ければ、その時点で要件はクリアされます。

■身分証明書と登記されていないことの証明書

これらの要件を確認するため、申請時には次の書類を役員全員分について提出します。

  • 身分証明書:本籍地の市区町村で発行。「成年被後見人・被保佐人とみなされる者に該当しない」「破産手続開始の決定を受けていない」ことの証明です。
  • 登記されていないことの証明書:法務局で発行。後見・保佐の登記がされていないことの証明です。

特に役員が複数いる場合、それぞれの本籍地が遠方にあると取得に時間がかかります。郵送請求も可能ですが、申請スケジュールには余裕を持たせておくのが安全です。

■役員全員の状況を早めに整理する

建設業許可を見据えている法人の方は、申請を本格化させる前に、役員全員のヒアリングをしておくことをおすすめします。「20年前のことだから関係ないと思っていた」というケースが、思いがけずネックになることがあります。

姫路で建設業許可をご検討の方には、役員の状況確認も含めた事前相談を無料で承っております。気になる点があれば、その時点でご相談ください。

これで建設業許可の要件編は一区切りです。次回は、要件を満たしたあとの「申請から許可までの流れ」について書く予定です。


“建設業許可の要件④「誠実性」と「欠格事由」” への2件のフィードバック

  1. toku-sanのアバター
    toku-san

    許認可申請は形式的なので書面に不備がなく要件を満たしていれば許可処分となります。
    しかし、審査過程において「不正」というのは、確認が難しいように感じます。

    産廃処理業においては行政の立ち入り調査が事前通告されることが通例です。
    当然ながらその場合、当日までの間に合法な状態にしてしまうと思うのです。
    抜き打ちでない限り、不正が顕在化するケースは少ないと思いますが・・・

    1. fujika-asのアバター
      fujika-as

      鋭いご指摘です。おっしゃるとおり、申請段階の審査は書面審査が中心ですので、誠実性のような内面的な要件を行政が事前に見抜くのは構造上難しい面があります。

      制度としては、入口の審査というよりも、許可後の監督処分や、虚偽申告が発覚した際の取消処分で全体の健全性を担保している、という建付けになっているのだと思います。産廃の立入調査が事前通告される件も同様で、抜き打ちでない以上、現場の実態との乖離はどうしても残るのが実情です。

      制度の限界を踏まえつつ、実態としてきちんと運営される事業者をサポートしていければと思っています。

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