車庫証明 申請できない場合と複雑なケース


これまで4回にわたり、車庫証明の制度の概要から書類作成、手続きの流れまでをご説明してきました。シリーズ最終回となる今回は、実務で起こりがちな「申請できない場合」や、判断が複雑になるケースについて、行政書士の視点から解説します。

ご自身の状況が以下のいずれかに該当する場合は、申請前に確認が必要です。

申請が認められない主な事由

車庫証明の申請をしても、警察の審査で認められないことがあります。代表的な却下事由は以下のとおりです。

  1. 保管場所が使用の本拠(住所)から直線距離2キロメートルを超えている
  2. 保管場所が道路から支障なく出入りできない構造になっている
  3. 保管場所に車両全体を収容できる広さがない
  4. 同じ場所をすでに他の車両の保管場所として登録している
  5. 申請者に保管場所を使用する正当な権原がない

特に、月極駐車場で「車1台分のスペースに2台分を申請する」といったケースは認められません。1台ごとに1つの区画を確保する必要があります。

使用の本拠と保管場所が同じ市町村内にない場合

「自宅は加古川市、勤務先は姫路市で、保管場所は勤務先付近の月極駐車場」というようなケースがあります。

この場合、使用の本拠が「自宅」なのか「勤務先」なのかが問題になります。原則として、使用の本拠は生活の拠点である自宅と判断されますが、業務上の必要性などにより勤務先を使用の本拠と認められる場合もあります。

判断が難しい場合は、申請前に管轄警察署または行政書士にご相談ください。

事業用車両の場合

法人や個人事業主が事業用に使用する車両の場合、以下の点に注意が必要です。

事業所と保管場所との距離も2キロメートル以内である必要があります。事業所を使用の本拠として申請する場合は、事業所の実態が確認できる書類(登記事項証明書、賃貸借契約書など)の準備が求められることがあります。

また、運送業や建設業などで、車両を複数台保有する場合は、各車両ごとに個別の保管場所を確保する必要があります。

複数台所有の場合の注意点

家庭で複数台の車を所有する場合は、それぞれの車両ごとに保管場所が必要です。

たとえば、自宅敷地内に「縦列駐車で2台分」のスペースがある場合、出入りの順序によっては「車両全体を独立して収容できる」とは言えず、認められないことがあります。

複数台所有を予定している方は、駐車場の構造を事前に確認することをお勧めします。

引っ越しや名義変更で気をつけたいこと

引っ越しで住所が変わった場合、原則として15日以内に変更登録(住所変更)を行う必要があります。この際、新しい住所地の車庫証明が必要となります。

また、相続による名義変更の場合、使用の本拠の位置が変わる(例:同居していなかった相続人が車を引き継ぐ)ときは、新たに車庫証明の取得が必要です。同居していた相続人が引き継ぐ場合は、状況により扱いが異なりますので、事前に管轄警察署または行政書士にご確認ください。

姫路市内での住所変更の場合、引っ越し先が家島町・夢前町・香寺町・安富町以外であれば、軽自動車でも届出が必要です。

共有駐車場・親族名義の土地を使う場合

マンションの共有駐車場や、親族名義の土地を保管場所とする場合は、使用権原の証明書類が必要です。

マンションの場合は管理組合または管理会社からの「保管場所使用承諾証明書」を、親族名義の土地の場合は所有者である親族からの「保管場所使用承諾証明書」を取得します。

口頭での承諾だけでは認められませんので、必ず書面で取得してください。

困ったときの相談先

車庫証明の手続きでお困りの場合は、以下の方法で解決できます。

  1. 管轄警察署の交通課に相談する(手続き方法の確認)
  2. 兵庫県警察のウェブサイトで様式や記入例を確認する
  3. 行政書士に書類作成や代行を依頼する

特に、お仕事で平日の警察署訪問が難しい方、書類作成にご不安のある方、急ぎの登録手続きがある方は、行政書士への依頼が効率的です。

シリーズのまとめ

全5回にわたり、車庫証明制度の基本から実務上の複雑なケースまでをご紹介しました。

普通自動車と軽自動車では制度が異なること、2025年4月の制度変更で標章が廃止されたこと、姫路市内でも一部地域は軽自動車の届出対象外であることなど、知っておくべきポイントを整理しました。

車庫証明は、車を所有する以上、避けて通れない手続きです。本シリーズが、皆様の手続きの一助となれば幸いです


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