第3回:相続した農地、どうする?農業委員会への届出と転用・売却の注意点


「親から農地を相続したが、耕作する予定はない」というご相談は年々増えています。相続した農地には、期限付きの義務がいくつもあり、知らずに放置すると思わぬ不利益を被ることがあります。

農業委員会への届出義務

農地を相続したときは、相続の開始があったことを知った日から10ヶ月以内に、その農地の所在地の農業委員会へ届出をする義務があります。これは農地法上の義務であり、遺産分割が終わっていなくても、相続を知った時点で期限が進行します。届出を怠ったり、虚偽の届出をした場合には、農地法により10万円以下の過料が科される可能性があるため注意が必要です。

相続登記の義務化

あわせて、令和6年から相続登記も義務化されています。相続を知った日から3年以内に登記をする必要があり、法改正前に相続していた土地についても、令和9年3月末までに登記を済ませる必要があります。届出と登記は別々の手続きであり、どちらか一方だけでは足りません。

転用・売却を考える場合は別の許可が必要

これらの届出・登記を終えた後、その農地をどうするかという問題が残ります。自分で耕作を続ける場合は追加の許可は不要ですが、耕作の予定がなく、売却や転用を考える場合は、農地法5条の許可(市街化区域内であれば届出)が別途必要になります。「相続の届出さえ済ませれば売却もできる」と誤解されている方も多いのですが、相続の届出と転用の許可はまったく別の手続きです。

また、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議の内容によって名義や持分が複雑になり、転用許可申請に必要な書類が増えることもあります。分割協議がまとまっていない段階では、転用の手続きに着手できないケースもあります。

まとめ

相続した農地は「とりあえず放置」してしまいがちですが、期限を過ぎると過料のリスクがあるうえ、後から売却しようとしても農地区分によっては転用が難しいケースもあります。相続が発生した際は、届出・登記・今後の活用方針を含めて、早めに農業委員会または行政書士へご相談されることをおすすめします。当事務所でも相続に伴う農地の手続きについてご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。


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