農地転用では、契約や造成に着手してから専門家に相談されるケースが少なくありません。しかし、話を進めてしまった後では取り返しがつかないことも多いため、今回はよくある失敗パターンをご紹介します。
農地区分の見極め不足
もっとも多いのが、農地区分の事前調査を怠るケースです。農用地区域内農地や甲種農地、第1種農地は原則転用不許可のため、区分を確認せずに売買契約を進めてしまうと、後になって転用できないことが判明し、契約自体が白紙に戻るリスクがあります。特に「近所の農地が転用できたから自分も大丈夫」という思い込みは危険です。区分は一筆ごとに異なります。
利用計画の甘さ
転用後の利用計画が具体性に欠ける場合も、許可が下りない典型例です。資金計画や造成計画が不十分だと判断されると差し戻しになりますし、住宅以外の用途(資材置き場、駐車場、太陽光発電など)では、事業計画書の実現可能性が特に厳しく審査されます。「とりあえず転用してから考える」という進め方は認められません。
契約と許可のタイミングのずれ
農地の売買は、転用許可(または届出受理)が下りて初めて効力が生じるのが原則です。この点を誤解し、許可前に代金決済や引き渡しを進めてしまうトラブルも見られます。契約書に「許可を停止条件とする」旨を明記していないと、後々のトラブルにつながりかねません。
許可後のフォロー不足
令和6年の農地法改正により、転用完了までの実施状況を報告する条件が付されるようになったほか、原状回復命令に従わない違反転用者は氏名や地番が公表される制度も導入されました。許可を取って終わりではなく、完了後のフォローまで見据えた対応が必要です。
まとめ
これらの失敗の多くは、契約前の事前調査と書類準備を丁寧に行うことで防げます。「進めてから相談」ではなく「進める前に相談」いただくことで、時間もコストも大きく節約できます。農地の売却・転用をお考えの際は、契約前の早い段階でぜひ行政書士へご相談ください。
参考にした公的資料
リンク先は2026年11月7日に確認しました。
農地転用シリーズ(全5回)
- 農地を売りたい方へ 農地転用の手続きをわかりやすく解説
- 第2回:農地転用にかかる費用と期間の実態―自分で申請する場合と行政書士に依頼する場合
- 第3回:相続した農地、どうする?農業委員会への届出と転用・売却の注意点
- 第4回:あなたの農地は転用できる?農地区分の見分け方
- 第5回:農地転用でよくある失敗と、許可が下りない典型パターンこの記事
