この連載も最終回です。不備通知の重さ、関係法令の確認、盛土規制区域の書き分けと見てきました。最後は、書類と申請日の関係の話です。
印鑑証明書には、前後の縛りがあります
事業譲渡による認定事業者の変更では、譲受人の委任状と印鑑証明書が必要になります。この印鑑証明書について、資源エネルギー庁は申請日より3か月前から当該申請日までの間に発行された原本と定めています。
ここで注意していただきたいのは、これが単なる「3か月以内」ではないということです。基準になるのは申請日です。つまり、書類を早く揃えすぎても要件を外れます。
手続を思い立ってすぐ役所に行き、印鑑証明書を取ってきた。そこから周知や関係法令の確認に時間がかかり、いざ申請する頃には発行から3か月を超えていた。取り直しです。
2つの「3か月」が、逆向きに効きます
第1回でお話ししたとおり、説明会または事前周知措置は、認定申請日の3か月前までに実施することが基本とされています。
整理すると、申請日を挟んで2つの制約が向き合っていることになります。
- 周知は、申請日の3か月前までに済ませておく必要がある
- 印鑑証明書は、申請日の3か月前より後に発行されたものでなければならない
同じ3か月という数字ですが、向きが逆です。片方は早く動くことを求め、もう片方は早く動きすぎることを許しません。
この構造がある以上、手続の順番は自然に決まってきます。先に時間のかかるもの、つまり周知と関係法令の確認を片づけ、公的書類は最後に揃える。逆をやると、待っている間に書類が期限切れになります。
相手方が動かないと、進みません
もうひとつ、事業譲渡に特有の事情があります。手続が自分ひとりで完結しないことです。
譲渡人の側には、事業譲渡証明書の作成があります。売買契約書を締結しない場合、たとえばご家族の間での譲渡などでは、この証明書が譲渡の事実を示す書類になります。
また、代行事業者が申請を行う場合、設備設置者はメールでの指示に従って電子申請システムにログインし、内容を確認したうえで承諾または拒否の操作を行うことになります。この操作がされない限り、手続は前に進みません。
設備の売買では、代金の決済が済んだ後に譲渡人の協力を得にくくなることがあります。契約の段階で、認定の名義変更に必要な書類の提供と電子申請システムの操作について、協力する旨を取り決めておくことをお勧めします。
迷ったら、早い段階でご相談ください
4回にわたってお読みいただき、ありがとうございました。
この手続は、ひとつひとつの作業が難しいというより、複数の制約を正しい順番で組み立てられるかどうかが問われるものです。そして順番を誤ったときの代償は、第1回で述べたとおり数か月に及びます。
設備の売買を検討し始めた段階、あるいは相続で設備を引き継ぐことになった段階で、一度ご相談いただければ、そこから逆算して進め方をご案内できます。
ふじか行政書士事務所では、FIT・FIP制度の変更認定申請および各種変更届出、これに伴う関係法令の確認や事前周知措置の実施支援を承っています。兵庫県内、播磨地域を中心に対応しております。
※本記事は2026年9月時点の公表資料にもとづく一般的な解説です。必要書類や要件は制度改正により変更されることがありますので、実際の手続にあたっては資源エネルギー庁の最新の公表資料および操作マニュアルをご確認ください。土地や設備の登記に関することは司法書士、税務に関することは税理士の業務となります。

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