相続手続きでは、「実家の土地と建物だけだと思っていたのに、後から把握していなかった不動産が見つかった」ということが起こりがちです。手続きの終盤で私道や畑などの物件が判明すると、書類の集め直しが必要になり、余計な時間と手間がかかってしまいます。
こうした“見落とし”を防ぐために役立つのが、今回ご紹介する名寄帳(なよせちょう)です。
名寄帳とは
名寄帳とは、ある人がその市区町村内に所有している不動産(土地・家屋)を、名義人ごとに一覧にまとめた台帳です。市区町村が固定資産税を課税するために管理している固定資産課税台帳を、名義人単位でまとめ直したものと考えると分かりやすいでしょう。
「特定の人が、その市区町村内に所有している不動産をまとめて確認したい」というときに役立つ書類であり、所有する不動産の全体像を把握できる点が大きな特徴です。
補足
自治体によって「土地・家屋名寄帳」「固定資産課税台帳兼名寄帳」など、呼び方が異なる場合があります。窓口では「名寄帳」で通じることがほとんどですが、念のため「固定資産の一覧を確認したい」と伝えるとスムーズです。
相続で名寄帳が重要になる理由
「不動産の一覧なら、毎年届く固定資産税の納税通知書で確認できるのでは」と思われるかもしれません。しかし、ここに注意すべき点があります。
納税通知書には記載されない不動産があるのです。たとえば、次のような物件です。
- 私道……非課税で固定資産税がかからないため、通知書に記載されないことがある
- 評価額が小さい土地……いわゆる免税点未満で課税されず、通知書に載らないケース
- 墓地・境内地・公衆用道路など……非課税として扱われる土地
納税通知書はあくまで税額を通知するための書類のため、課税されない不動産は記載から漏れがちです。一方で名寄帳は、非課税の物件も含めて記載する自治体が多く、その市区町村内にある不動産を幅広く確認できます。
相続登記(2024年から義務化されました)を漏れなく進めるためには、まず「亡くなった方がどこに何を所有していたか」を正確に把握することが第一歩です。名寄帳は、その全体像をつかむうえで欠かせない書類といえます。
名寄帳の取得方法
取得の流れは難しくありません。ポイントを整理します。
■ 取得先
不動産が所在する市区町村の役所(税務課・資産税課など)が窓口です。ここで注意したいのは、不動産の所在地の役所であって、亡くなった方の住所地の役所とは限らないという点です。
たとえば、飾磨区を含む姫路市内に不動産がある場合は、姫路市役所の担当窓口(資産税課など)で取得します。一方、姫路市外にも不動産があるときは、その所在地の市町村でも別途取得が必要になります。
■ 取得できる人
本人のほか、相続人や、委任を受けた代理人が取得できます。相続手続きの中で、行政書士が委任状をお預かりして代理で取得することも可能です。
■ 必要なもの(相続人が請求する場合の一例)
- 請求する方の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 亡くなった方が死亡したことがわかる書類(戸籍(除籍)謄本など)
- 亡くなった方と請求者の関係がわかる戸籍謄本など
※必要書類は自治体ごとに異なるため、事前に役所のホームページで確認しておくと安心です。
■ 手数料
1件あたり数百円程度が目安です。ただし「1名義あたり」「1通あたり」など数え方は自治体によって異なるため、こちらも事前の確認をおすすめします。
■ 郵送での取得
遠方の不動産についても、多くの自治体が郵送請求に対応しています。その場合は、請求書・本人確認書類のコピー・手数料分の定額小為替・返信用封筒(切手貼付)などを同封するのが一般的な流れです。
名寄帳を取得する際の注意点
取得前に押さえておきたいポイント
- 市区町村ごとに取得が必要
姫路市とその他の市町に不動産がある場合は、それぞれの役所で名寄帳を取得する必要があります。名寄帳はその市区町村内の分のみを対象とするため、複数の市町村にまたがる場合は注意が必要です。 - 基準は毎年1月1日(賦課期日)
固定資産税は1月1日時点の所有者に課税されます。相続では、まず亡くなった方の名義で取得して全体像を把握するのが基本です。 - 共有名義の不動産は別扱いの場合がある
単独名義分と共有分で名寄帳が分かれる自治体もあります。「共有分も含めてほしい」と伝えておくと、取りこぼしを防げます。 - 非課税分の記載には自治体差がある
非課税の物件も記載する自治体が多い一方、扱いが異なる場合もあります。心配なときは窓口で「非課税分も含まれるか」を確認しましょう。 - コンビニ交付は基本的に対象外
住民票などと異なり、名寄帳はコンビニ交付に対応していない自治体が多くあります。窓口または郵送での取得が基本と考えておくとよいでしょう。
まとめ
相続手続きで不動産の全体像を把握するうえで、名寄帳は最初に確認しておきたい書類です。納税通知書だけに頼ると、私道や小さな土地といった課税されない不動産を見落とし、後の登記でやり直しが生じるおそれがあります。
とはいえ、複数の場所に不動産がある場合や、どの役所に何を請求すればよいか分からない場合は、集める書類も増え、手続きが煩雑になりがちです。そうしたときは、専門家に手続きをお任せいただくのも一つの方法です。
ふじか行政書士事務所は、姫路市飾磨区を拠点に、名寄帳をはじめとする相続手続きの書類収集や、相続に関するお手続きをサポートいたします。姫路市・飾磨エリアで「自分の場合はどう進めればよいか」といったご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
※本記事は一般的な情報をまとめたものです。手数料・必要書類・記載範囲などの取り扱いは自治体によって異なるため、実際のお手続きの際は各市区町村の窓口・ホームページで最新情報をご確認ください。

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