ご近所さんから建設業許可の相談を受けた話・続編


前回の記事で、ご近所の方から建設業許可の相談を受けた話を書きました。

本日は経営業務の管理責任者、業界で「経管(けいかん)」と呼ばれる要件について書きたいと思います。

■そもそも「経管」とは何か

ざっくり言えば、「建設業をきちんと経営できる人」を会社に常勤で1人置く必要がある、というルールです。法人であれば常勤の役員、個人事業であれば事業主本人が該当します。

要するに、建設業の世界で経営経験を一定年数積んだ人物を据えなさい、という制度です。

■具体的に必要な経歴

実務上は、次のいずれかを満たす必要があります。

  1. 建設業の役員等としての経験が5年以上
  2. 建設業の役員等に次ぐ職制上の地位(執行役員・支店長等)での経験が5年以上
  3. 建設業の役員経験と他業種の役員経験を合算して6年以上 など

ポイントは「建設業の経営側で5年」という点です。職人として現場で30年というキャリアだけでは、経管にはなれません。現場での経験経営者としての経験は、許可制度上は別物として扱われます。

「ベテランだから問題ないだろう」と思っていた方が、実はこの要件で引っかかるというのは、よくあるケースです。

■証明書類のハードル

経歴は口頭で説明するだけでは認められず、書類で立証する必要があります。

  • 法人の役員経験 → 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
  • 個人事業の経験 → 確定申告書の控え(5年分)
  • 建設業を営んでいた事実の証拠 → 工事請負契約書、注文書、請求書など

特に大変なのが、5年分の請求書・契約書類を遡って揃える作業です。「税理士に預けたまま手元にない」「保管していなかった」というケースは少なくありません。資料集めだけで2〜3か月かかる方もいらっしゃいます。

■よくある落とし穴

  • 不動産業や設備管理業の経験は原則カウント外です。似た業界でも、建設業でなければ経験年数に含まれません。
  • 常勤性の問題もあります。別会社の役員と兼任している場合、「常勤」と認められないケースがあります。
  • 退職済みの場合の証明には、以前勤めていた会社の協力が必要になることがあります。円満退社でない場合は、ここが最大の壁になります。

■まずは候補者の経歴整理から

建設業許可をお考えの方は、いきなり申請書を書き始める前に、まず経管の候補者を決め、その方の経歴と裏付け書類を確認するところから始めることをおすすめします。

「自社が要件を満たしているかどうか」を確認する事前相談、無料で承っております。決算書・契約書・履歴書など、お手元の資料をご持参いただければ、その場で見通しをお伝えできます。

ご自身で進めようとして、書類集めの段階で行き詰まってご相談に来られる方も少なくありません。早い段階で全体像を整理しておくことが、結果的に一番の近道です。


“ご近所さんから建設業許可の相談を受けた話・続編” への2件のフィードバック

  1. toku-sanのアバター
    toku-san

    プロ野球でいうところの「名選手が名監督になるとは限らない」と似ていますね。
    経営は、自分の仕事のみならず常に全体を総括する立場にあるため、一筋縄では
    いかないでしょうね。
    メンタルが強く、実行力があり、それでいて柔軟性が必要なんだと思います。
    私にはハードルが高すぎて敬服するばかりです。

    経管等、建設業分野とはいってもいろんな要素があるんですね。
    また勉強させていただきました。

    1. fujika-asのアバター
      fujika-as

      「名選手が名監督になるとは限らない」、本当にそのとおりだと思います。建設業に限らず、現場の力と経営の力は別物で、その両方を兼ね備えた方には私もいつも敬意を抱いています。

      建設業許可は要件が多く、今回取り上げた経管はそのうちのひとつに過ぎません。これから他の要件についても順に書いていく予定です。よろしければまた覗いてみてください。

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