前回、関係法令手続状況報告書では「該当なし」を確認する作業に時間がかかる、というお話をしました。そして最後に、「区域に該当しないから手続不要」と「区域には該当するが工事を伴わないから不要」は意味が違う、と申し上げました。
第3回は、その違いが最もはっきり表れる盛土規制区域を取り上げます。兵庫県内に設備をお持ちの方には、直接関わる話です。
兵庫県は、県内が丸ごと規制区域です
宅地造成及び特定盛土等規制法、いわゆる盛土規制法にもとづき、兵庫県は令和7年4月1日に規制区域を指定しました。
ここで注意していただきたいのは、その範囲です。兵庫県内は、指定都市および中核市を除き、全域が宅地造成等工事規制区域または特定盛土等規制区域とされています。
一部の危険な斜面だけを指定した、という話ではありません。県が所管する区域については、平地も山間部も、市街地も農村部も、どこかの区域に入っています。
なお、指定都市および中核市は、それぞれの市が所管しています。兵庫県では、指定都市の神戸市と、中核市の姫路市、尼崎市、明石市、西宮市がこれに当たります。
では、県の所管から外れるこれらの市は事情が違うのか。少なくとも姫路市については、違いません。姫路市も令和7年4月1日から、市域全域を宅地造成等工事規制区域または特定盛土等規制区域に指定しています。市街地や集落の周辺を宅地造成等工事規制区域、そこから離れた地形上の条件のあるエリアを特定盛土等規制区域とする、という区分です。
他の指定都市・中核市については、それぞれの市の公表資料をご確認ください。
「うちは造成地ではないから関係ない」が通用しません
盛土規制という言葉から、多くの方は大規模な造成工事を想像されます。そのため、平坦な土地に架台を並べただけの低圧設備であれば無関係だろう、と判断してしまいがちです。
しかし区域指定は、土地の現況ではなく地域を単位に行われています。造成をしていない土地であっても、区域の中にあることに変わりはありません。
誤解を避けるために申し添えると、区域内にあること自体は、何かの手続を義務づけるものではありません。規制の対象となるのは、一定の規模や形態に当たる盛土・切土などの工事です。設備をそのまま引き継ぐだけで、土地の形質を変更する工事を伴わないのであれば、許可の取得は問題になりません。
問題は、報告書への書き方です
ここが今回の要点です。
関係法令手続状況報告書には、盛土規制法にもとづく工事許可の欄があります。工事を行わないのであれば許可の取得は不要ですが、その前提として、土地が区域内にあるという事実は動きません。
ここで「規制区域の外だから関係ない」と整理してしまうと、前提の認識そのものが誤っていることになります。県と姫路市が公表しているとおり、それぞれの所管区域に区域外の土地はありません。正しくは、区域内にはあるが、土地の形質を変更する工事を伴わないため許可を要しない、ということです。
報告書は、確認した結果を記録する書類です。結論が同じでも、前提の認識が誤っていれば、その記載は正確なものとは言えません。前回申し上げた「調べていない空欄と、調べた結果の無は別物」という話は、まさにこういう場面を指しています。
買う側にとっては、将来の話でもあります
もうひとつ、設備を取得される方に知っておいていただきたいことがあります。
いま工事をしないから許可が不要なのであって、区域内であるという事実は残り続けます。取得後にパネルの配置を変更する、架台の基礎をやり直す、造成を伴う増設を行う。そうした計画が出てきたときには、あらためて盛土規制法の検討が必要になります。
中古設備を購入する段階で、その土地がどの区域に入っているかを確認しておくことは、将来の設備更新の自由度を知ることでもあります。県も姫路市も規制区域図を公表していますので、購入前にご自身で確認しておかれることをお勧めします。
制度は動いています
盛土規制法にもとづく区域指定は、各都道府県および指定都市・中核市がそれぞれ進めているものです。兵庫県の運用開始は令和7年4月1日ですが、時期も指定の考え方も、自治体によって異なります。
数年前に作成された資料や、他県向けに書かれた解説を参考にすると、前提が食い違います。設備の所在地を所管する自治体の、現在の公表資料に当たってください。
次回予告
連載の最終回となる第4回は、申請日をいつに設定するかという段取りの話です。添付する公的書類には有効期間があり、揃える順番を誤ると取り直しになります。
ふじか行政書士事務所では、FIT・FIP制度の変更認定申請および各種変更届出、これに伴う関係法令の確認や事前周知措置の実施支援を承っています。兵庫県内、播磨地域を中心に対応しております。
※本記事は2026年8月時点の公表資料にもとづく一般的な解説です。規制区域の指定内容や運用は変更されることがあり、所管する自治体によっても異なります。実際の手続にあたっては、設備所在地を所管する自治体の最新の公表資料をご確認ください。土地の登記に関することは司法書士、税務に関することは税理士の業務となります。

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