「該当なし」を確かめるのに時間がかかります 太陽光の関係法令手続状況報告書


前回は、不備通知が補正で済まず、申請を一から出し直すことになる場合があるというお話をしました。第2回は、申請書類のなかでもとりわけ時間のかかる、関係法令手続状況報告書を取り上げます。

地味な書類です。しかし、設備の立地によっては、この一枚を整えるだけで数週間を要します。

21の法令を、ひとつずつ

この報告書では、発電設備の所在地について、関係する法令ごとに手続の要否を確認していきます。主なものを挙げると、次のとおりです。

  • 国土利用計画法、都市計画法
  • 河川法、港湾法、海岸法
  • 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律、砂防法、地すべり等防止法
  • 景観法
  • 農業振興地域の整備に関する法律、農地法
  • 森林法(林地開発許可、保安林、伐採届)
  • 文化財保護法(埋蔵文化財包蔵地、史跡等)
  • 土壌汚染対策法
  • 自然公園法、自然環境保全法、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、鳥獣保護管理法
  • 環境影響評価法および条例
  • 宅地造成及び特定盛土等規制法

これらを含め、報告書は全部で21の項目で構成されています。それぞれについて該当の有無を選び、該当する場合は手続の状況を記載し、確認先の情報を入力していく形です。掲載されている法令以外に該当するものがあれば、その他の欄に記載します。

本当に手間がかかるのは「該当なし」のほうです

直感に反するかもしれませんが、この作業で時間を要するのは、該当する法令があった場合ではありません。

該当があるなら、話は単純です。所定の許可なり届出なりを行い、その状況を書けばよい。やるべきことがはっきりしています。

難しいのは、「該当しない」ことを確かめる作業です。その土地が保安林でないこと、埋蔵文化財包蔵地でないこと、農業振興地域の農用地区域に入っていないこと、砂防指定地や急傾斜地崩壊危険区域に該当しないこと。これらは何もしなければ何も起きないため、確認を省いても、その場では気づかれません。

しかし報告書に「該当なし」と書くということは、確認したうえでそう書いた、という意味になります。調べていない空欄と、調べた結果の「無」は、外形上は同じに見えて、まったく別のものです。

窓口は、一か所にまとまっていません

確認先が分散しているのも、この作業を重くしている要因です。都市計画は市の都市計画担当、農地は農業委員会、埋蔵文化財は市の教育委員会、公害・環境関係は環境担当。河川や砂防となると、県の出先機関が窓口になります。盛土規制のように、市が所管する場合と県が所管する場合が分かれる法令もあります。

一つの窓口で「うちは該当しません」と言われても、それは他の法令については何も語っていません。結局、項目ごとに問い合わせ先を調べ、順に確認していくことになります。

工事をしないから関係ない、とはなりません

事業譲渡では、設備をそのまま引き継ぐだけで、造成も建築も行わないことがあります。この場合、多くの法令について許可や届出は不要になります。

ただし、それは「手続が不要」ということであって、「確認が不要」ということではありません。そして、なぜ不要なのかの理由も一様ではありません。そもそも区域に該当しないから不要なのか、区域には該当するが工事を伴わないから不要なのか。この二つは意味がまったく違います。

この書き分けを誤ると、報告書の記載自体が不正確なものになります。次回、具体的な例で扱います。

やはり、おひとりでは難しい工程です

前回、10kW以上の設備に関する手続については専門家への依頼をお勧めしました。この報告書は、その理由のひとつです。

どの法令が問題になり得るかは、土地の区域指定を一つずつ確認しなければ分かりません。どこに聞けばよいかも、法令ごとに違います。そして誤りは、申請して不備を指摘されるまで表面化しません。

次回予告

第3回は、この報告書で誤りが生じやすい盛土規制区域を取り上げます。兵庫県は令和7年4月1日に規制区域を指定していますが、その範囲を知らないまま「区域外」と整理してしまうと、前提を誤ることになります。


ふじか行政書士事務所では、FIT・FIP制度の変更認定申請および各種変更届出、これに伴う関係法令の確認や事前周知措置の実施支援を承っています。兵庫県内、播磨地域を中心に対応しております。

※本記事は2026年8月時点の公表資料にもとづく一般的な解説です。報告書の様式や記載事項は改訂されることがありますので、実際の手続にあたっては資源エネルギー庁の最新の様式および操作マニュアルをご確認ください。土地の登記に関することは司法書士、税務に関することは税理士の業務となります。


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