前回、4つの分岐で説明会か事前周知措置かが決まることを確認しました。何をするかが決まったら、次に問題になるのは、誰に対して、どのように、いつまでに行うのかです。
ここも定めがあります。順に見ていきます。
目次
対象者は、2つの類型と市町村の意見で決まります
ガイドラインは、周知の相手方を2つの類型で定めたうえで、市町村への事前相談による追加を予定しています。
まず、実施場所の敷地境界線からの水平距離が一定の範囲内に居住する者です。範囲は電源の区分ごとに決まっています。
| 電源の区分 | 敷地境界線からの水平距離 |
|---|---|
| 低圧電源 | 100m |
| 高圧電源・特別高圧電源(下記を除く) | 300m |
| 環境影響評価法の第一種事業 | 1km |
1kmが適用されるのは第一種事業に限られます。第二種事業は、高圧・特別高圧電源として300mの区分で判断することになります。ここを取り違えると、範囲を過大に設定して不要な負担を負うことになります。
もうひとつの類型が、実施場所に隣接する土地またはその上にある建物を所有する者です。
居住者は距離で、所有者は隣接で決まります。基準が違うという点に注意してください。
この違いは、対象者を洗い出すときに効いてきます。隣の土地が空き地や空き家で、所有者が遠方にお住まいの場合。居住者ではありませんが、隣接する土地の所有者ですから、対象に含まれます。逆に、距離の範囲内であっても隣接していない土地について、そこに住んでいない所有者は、この2つの定めからは出てきません。
市町村への事前相談は、踏むべき手続です
距離を測れば範囲が確定する、というものではありません。ガイドラインは、「周辺地域の住民」の範囲について、実施場所が属する市町村に事前相談を行うこと、と定めています。任意の照会ではありません。
そして市町村から、範囲に加えるべき者について意見があった場合には、その者を「周辺地域の住民」の範囲に加え、その者に対しても説明することとされています。
なお、条文上の定めは「居住する者」ですので、範囲内が工場や事務所ばかりで居住者がいないというケースでは、誰を対象とすべきかを、この事前相談の場で確認しておくのが安全です。
事前周知措置の方法は4つ
事前周知措置として認められる方法は、次のとおりです。
- ポスティングによる書面の配布
- 戸別訪問による書面の配布
- インターネット上で閲覧に供するとともに、主たるホームページのアドレスを回覧板に掲載する方法
- インターネット上で閲覧に供するとともに、主たるホームページのアドレスを関係自治体の公報または広報誌へ掲載する方法
後ろの2つは、インターネットでの公開と、それを知らせる手段が組み合わせになっています。ホームページに載せただけでは足りません。
説明会の案内は、二本立てです
説明会を開催する場合、案内は2つの経路で行います。
ひとつは住民への案内で、開催予定日の2週間前までに、ポスティング、戸別訪問、回覧板、自治体の公報等によって行います。
もうひとつが、資源エネルギー庁のシステムを活用した開催案内です。案内に記載すべき内容を、説明会の開催の2週間前までにエネ庁へ提出することとされています。住民に直接届ける案内と、システム上の案内。この二本立てだとおさえてください。
また、住民からの質問等に適切に対応できるよう、十分な回数の説明会を開催することが求められています。1回開けば終わり、という建て付けではありません。
質問の受付 ― 説明会は「出席した人」から
説明会でも事前周知措置でも、質問や意見の受付が求められます。期間はいずれも2週間以上、回答は書面をもって誠実に行うこととされています。口頭で答えた、その場で説明したので足りる、という整理にはなりません。
ただし説明会の場合、受け付ける相手は、説明会に出席した「周辺地域の住民」とされています。そして受付は開催後です。この2点が事前周知措置とは異なります。
3か月前は、何の締切なのか
ここが、この連載でいちばん誤解されやすい部分です。
認定申請日の3か月前までという期限がかかっているのは、説明会の開催そのものです。案内の締切でも、質問受付の終了期限でもありません。
案内は開催の2週間前までですから、住民への案内もシステムへの提出も、認定申請日の3か月と2週間前より前に済ませておく必要があります。3か月前のラインは、案内の締切ではないという点に注意してください。
一方、質問の受付は開催後に行うものですから、3か月前のラインより後に及んで構いません。ただし、実施した内容は報告書にまとめて認定申請の際に提出しますので、受付と回答は申請までに終えている必要があります。
さらにその前段には、対象範囲を確定させ、市町村に事前相談を行い、対象者を洗い出し、配布する書面を作成する作業があります。3か月という数字だけを見ると余裕があるように思えますが、実際に動かせる時間はそれほど残りません。
出席希望がなかった場合の扱い
ガイドラインには、説明会の開催を要しないこととなる場合の定めもあります。開催予定日の前々日までに出席を希望する旨の連絡がなかったときなどがこれに当たり、この場合は「認定申請日の3か月前」が「認定申請日」と読み替えられます。
ただし、この扱いに至るには、システムを活用した開催案内を含め、所定の手順を踏んでいることが前提になります。人が来ないだろうから省略してよい、という話ではありません。
最初の作業は、距離を測ることです
対象者の洗い出しは、地図の上で敷地境界線から距離を測るところから始まります。そのうえで範囲内の居住者と隣接地の所有者を特定し、市町村に相談して範囲を確定させます。
ここを曖昧にしたまま進めると、後から対象者の漏れが判明します。周知をやり直せば、時期の要件も振り出しに戻ります。距離を測る作業は地味ですが、この手続でいちばん先にやるべきことです。
次回予告
連載の最終回となる第4回は、実施した後の話です。説明会概要報告書および事前周知措置概要報告書は、資源エネルギー庁のシステムを通じて公表されます。誰が読むのかを踏まえた書き方について整理します。
ふじか行政書士事務所では、FIT・FIP制度の認定申請および変更認定申請、これに伴う説明会・事前周知措置の実施支援を承っています。対象範囲の確定や配布書面の作成からお引き受けします。兵庫県内、播磨地域を中心に対応しております。
参考にした公的資料
リンク先は2026年11月7日に確認しました。
※本記事は2026年9月時点の「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」(2024年2月策定、2025年4月改訂、2026年4月改訂)にもとづく解説です。同ガイドラインには、環境影響評価の対象事業や認定申請要件許可が必要な事業など、実施時期が別に定められている場合もあります。実際の手続にあたっては資源エネルギー庁が公表する最新版をご確認ください。
太陽光の説明会・事前周知措置シリーズ(全4回)
- それは「お願い」ではなく認定の要件です 太陽光の説明会・事前周知措置を審査側の視点で読む
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