古い住宅用の太陽光は、名義変更がぐっと軽いことがあります 不動産会社様向け「卒FIT」の話


中古住宅の屋根に、太陽光パネルが載っている。売買のときに「太陽光の名義変更も必要です」と聞いて、身構えてしまうかもしれません。

でも、その太陽光が「卒FIT」の設備なら、手続きはぐっと軽くなります。

目次
  1. 「卒FIT」とは
  2. 卒FITだと、何が軽くなるのか
  3. ただし「何もしなくていい」わけではありません
  4. 卒FITかどうかの見分け方
  5. 「身構えなくて大丈夫」な売買もあります
  6. 参考にした公的資料

「卒FIT」とは

太陽光でつくった電気は、国の制度(FIT)で、決まった価格で電力会社に買い取ってもらえます。ただし、その期間には限りがあります。

  • 住宅用(10kW未満):10年
  • 10kW以上:20年

この期間が終わった設備を、一般に「卒FIT」と呼びます。資源エネルギー庁によると、住宅用の太陽光は2019年から、順に買取期間が終わっています。

つまり、10年以上前に設置された住宅の屋根の太陽光は、卒FITになっている可能性が高いということです。

卒FITだと、何が軽くなるのか

国の資料(変更手続の整理表)では、卒FITの設備を売買などで引き継ぐときは、「卒FIT事前変更届出」という手続きを使います。買取期間中の設備の名義変更とは、次のような違いがあります。

  • 添付書類が要らない:買取期間中は、譲渡を証明する書類や登記簿謄本などをそろえますが、卒FITの届出は添付書類が不要とされています(代理人が手続きをする場合は、委任状と印鑑証明書が必要です)。
  • 周りの住民の方へのお知らせ(事前周知・説明会)が要らない:買取期間中の10kW以上の設備で求められることがある手続きは、卒FITの設備では必要ありません。

そのぶん、費用も抑えられます。当事務所の報酬の目安は、住宅用(10kW未満)の場合、買取期間中は55,000円からですが、卒FITなら33,000円です(売電先の電力会社の手続きは、別に11,000円)。

ただし「何もしなくていい」わけではありません

買取期間が終わっても、国の認定の記録は残っています。持ち主が変わったときは、軽いとはいえ、国への届出が必要です。

また、買取期間が終わったあとも売電を続けている場合は、電力会社との契約にもとづいて買い取ってもらっています。その電力会社との契約の名義や振込口座の変更も、別に手続きします。ここを忘れると、売電の代金が前の持ち主に入り続けることになりかねません。

卒FITかどうかの見分け方

  • 電力会社からの「買取期間満了」のお知らせ:期間が終わる前に、それまで買い取っていた電力会社から通知が送られています。売主様の手元に残っていないか確かめてみてください。
  • 買取が始まった時期:住宅用なら、買取の開始から10年たっていれば卒FITです。
  • 国の電子申請の画面:売主様のIDとパスワードでログインすると、認定の内容を確かめられます。

IDとパスワードが分からない場合は、「売主様が太陽光のIDとパスワードを知らないとき」の記事をご覧ください。

「身構えなくて大丈夫」な売買もあります

太陽光の名義変更と聞くと、時間も費用もかかるイメージがあるかもしれません。けれども、古い住宅用の太陽光であれば、手続きはずっとシンプルです。

まずは、その太陽光が卒FITかどうかを確かめるところから始めましょう。分からない場合は、お手元にある太陽光の書類の写真を送っていただければ、一緒に確認します。

売買全体の流れは、「太陽光付きの物件を扱うとき、最初に確かめたい5つのこと」でもご紹介しています。


ふじか行政書士事務所では、太陽光発電付きの物件の売買に伴う名義変更を、不動産会社様からのご依頼でお受けしています。太陽光の名義変更は、全国からご相談をお受けしています。売買のご相談が始まった段階から、お気軽にお声がけください。

参考にした公的資料

リンク先は2026年11月4日に確認しました。

※本記事は、資源エネルギー庁の「変更内容ごとの変更手続の整理表」(2026年4月1日更新)などの公表資料にもとづく一般的な説明です。手続きの種類は、設備の内容や持ち主が変わる理由(売買・相続など)によって異なります。報酬は2026年10月時点の目安です。不動産の登記は司法書士、税務は税理士の業務となります。

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